寝起き事件簿の話
謎の喉の乾きで目が覚める。
口のなかが乾いている。まるで砂漠だ。冷蔵庫へ走り麦茶を飲む。
何故私がこんな目に。
そういえばさっき、寝ぼけながら私は「テーブルに…テーブルに置いておいてくれ…」そういった気がする。
テーブルには無数のクッキーが直に置かれていた。
せめて皿か何かにのせておいてくれよ。
犯人はゆうだいくんだ。先に目覚めてなぜか朝からクッキーを食べることを思い立ったのだろう。そしてそのクッキーがあまりにも美味しかったものだから、私にお裾分けしてやろうと思ったのだろう。
私の口はチョコレートでぎとぎとになっていた。
それにしても部屋が散らかっている。
床にピザのチラシが落ちていた。その横に子供銀行のオモチャのお金が何枚か置いてある。ピザを注文しようとしていた。
なんという子供だ。彼にケータイを持たせたあかつきには、無数のピザが家に届くに違いない。
見てないときに限って面白いことをしていることがある。
独り言をしゃべっているうちは聞き耳をたてているのが一番だ。ゆうだいくんワールドを垣間見ることができる。
しかし、黙々と何かしているときは要注意。すぐに見に行かないと大変なことが起きていることが多い。静かなときは大抵、イタズラに勤しんでいる。
なんだか静かだな、どこ行ったんだと思って見てみると絨毯にボールペンアートを繰り広げていたりする。
どうして落書きしたのか聞いたら「やりたかったから」と言われる。理由はそれだけなのだ。後先なんて関係ない。やりたいと思ったらもうからだが動いてる生き物だ。
落書きは紙に。と口を酸っぱくして言ったとしても好奇心には勝てないのだ。理性とはなんと脆いことよ。
とにかく、子供からは目を離さないことを推奨する。